広告制作・販路開拓に
使える補助金【2026年度】
チラシ、パンフレット、ホームページ、動画、展示会。販路を広げるための投資には、国と自治体の補助金が使えます。ただし「どこまでが対象か」を外すと申請そのものが通りません。2026年度の公募要領の本文にあたって、使えるライン/使えないラインを整理しました。
SECTION 01先に結論|予算規模で入口が2つに分かれます
「広告に補助金を使いたい」というご相談は、まず予算規模で行き先が変わります。数十万円規模の販促なら小規模事業者持続化補助金、数百万円規模のブランディングや新事業の立ち上げなら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が入口です。
| 小さく始める | 本格的にやる | |
|---|---|---|
| 制度名 | 小規模事業者持続化補助金 <一般型・通常枠>第20回 | 新事業進出・ものづくり 商業サービス補助金 第1回 |
| 広告に使える額 | 広報費30万円+ウェブサイト関連費30万円=合計60万円まで(補助金額ベース) | 新製品の年間売上見込み額(税抜)の5%が上限。事業計画次第で金額が変わります |
| 補助率 | 2/3 | 1/2〜2/3(企業規模・枠による) |
| 全体の上限 | 50万円(特例適用で最大250万円) | 750万円〜7,000万円(枠・従業員数による) |
| 対象 | 小規模事業者(従業員5人以下または20人以下) | 中小企業者等 |
| 申請受付 | 2026年11月5日〜12月15日 17:00 | 2026年9月30日〜10月30日 18:00 |
| 向いているケース | 既存商品の販路を広げたい。チラシ・HPを刷新したい | 新商品・新サービスを立ち上げる。本格的にブランディングしたい |
▶ 判断の目安
広告・販促にかけたい予算が90万円以内なら持続化補助金で足ります(補助率2/3のため、経費90万円で補助金60万円)。それを超える規模のブランディングや、新商品の立ち上げに伴う広告投資なら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のほうが現実的です。ただし後者は「新しい製品・サービスを作る」ことが前提で、既存事業の広告だけでは使えません。SECTION 02【重要】広告制作だけでは申請できません
2026年度でいちばん見落とされているのが、この点です。小規模事業者持続化補助金は第20回からルールが変わり、広報費・ウェブサイト関連費のどちらも「その経費だけでの申請」ができなくなりました。
第20回 公募要領(第8版)の記載
「広報費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。」「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。」
「当経費の補助金交付申請額の上限は 30 万円(税込)です。」(広報費・ウェブサイト関連費とも)
つまり「ホームページを作りたい」「チラシを刷りたい」という単独の依頼は、補助金の申請として成立しません。機械装置等費、展示会等出展費、新商品開発費といった他の取り組みと組み合わせた事業計画が必要になります。
第19回からの変更点
| 項目 | 第19回まで | 第20回(現行) |
|---|---|---|
| ウェブサイト関連費 | 補助金交付申請額の1/4(最大50万円) | 30万円(税込)の定額上限 |
| 広報費 | 上限の定めなし | 30万円(税込)の上限+単独申請不可(新設) |
※ 第19回公募要領 第6版と第20回公募要領 第8版の本文を比較して確認しています(2026年8月20日時点)。
▶ 実務での組み立て方
たとえば「新商品のパッケージを開発し(新商品開発費)、展示会に出展して(展示会等出展費)、そのための商品カタログとランディングページを作る(広報費・ウェブサイト関連費)」という設計であれば、広告制作も補助対象に乗せられます。制作物だけを切り出すのではなく、販路開拓の取り組み全体を設計してから制作物を位置づけるのが、2026年度の正しい進め方です。SECTION 03小さく始める|小規模事業者持続化補助金 第20回
小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回
小規模事業者が販路開拓や業務効率化に取り組む際の経費を補助する制度です。商工会議所・商工会の支援を受けながら経営計画を作り、それに基づいて申請します。
補助対象経費は8区分
第20回の対象経費は次の8つです。このうち広告制作に関わるのは②と③、販路開拓に関わるのは④です。
| 経費区分 | 広告・販促との関係 | |
|---|---|---|
| ① | 機械装置等費 | 設備・什器の購入。広報費と組み合わせる相手として使いやすい区分です |
| ② | 広報費 | ◎ チラシ・パンフレット・カタログ・看板・各種広告掲載料。上限30万円・単独申請不可 |
| ③ | ウェブサイト関連費 | ◎ ホームページ・ECサイト・システムの開発/構築/更新。上限30万円・単独申請不可 |
| ④ | 展示会等出展費 | ◎ 展示会・商談会の出展料(オンライン含む) |
| ⑤ | 旅費 | 販路開拓のための出張費 |
| ⑥ | 新商品開発費 | 試作品の開発。広報費と組み合わせる相手として自然です |
| ⑦ | 借料 | 機器・設備のリース料等 |
| ⑧ | 委託・外注費 | 上記に該当しない業務の外注 |
※ 過去の回にあった「資料購入費」「雑役務費」「設備処分費」は、第20回では独立した経費区分としては存在しません。アルバイト代等の人件費は補助対象外経費に明記されています。
広報費|対象になるもの・ならないもの
公募要領は広報費を「パンフレット・ポスター・チラシ・インターネット広告・SNS広告等を作成および広報媒体等を活用するために支払われる経費」と定義しています。ただし目的による線引きが明確にあります。
◎ 対象になる
- チラシ・カタログの制作と発送
- 新聞・雑誌への商品・サービスの広告掲載
- 看板の作成・設置
- インターネット広告、バナー広告
- SNS広告、広告運用の代行費
× 対象にならない
- 会社案内パンフレットの作成
- 求人広告
- 商品・サービスの宣伝を目的としない広告・看板
- 名刺
- 金券・商品券
- フランチャイズ本部が作成した広告物の購入
▶ 判断の分かれ目は「商品名が入っているか」
公募要領には「補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象であり、単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は、補助対象外です」とあり、対象外の例として「販路開拓に繋がる商品・サービスの名称や宣伝文句および事業者名等が付記されていないもの」が挙げられています。会社の紹介ではなく、売りたい商品・サービスの広告であることが分かる制作物にする——ここが実務上の最大のポイントです。ウェブサイト関連費の注意点
- 上限30万円は「補助金額」ベース。補助率2/3なので、HP制作費として計上できる経費は実質45万円まで(45万円×2/3=30万円)。これを超える分は自己負担になります。
- 単独申請は不可。必ず他の経費区分と組み合わせて申請します。
- 50万円(税抜)以上で制作したサイトは「処分制限財産」になります。補助金の支払いを受けた後も、通常5年間は補助事業目的外での使用・譲渡・廃棄が制限されることがあります。作り替えの予定がある場合は要注意です。
- 自社サイト・ECサイトで使う写真や動画の制作費は、広報費ではなくウェブサイト関連費に計上します。公募要領に明記されています。
▶ 創業まもない事業者は「創業型」も
特定創業支援等事業の支援を受け、開業日が公募締切から過去1年以内であれば、小規模事業者持続化補助金<創業型>(第4回)が使えます。補助率2/3・補助上限200万円(インボイス特例で最大250万円)と、通常枠より上限が大きく設定されています。申請受付の日程は一般型と同じ2026年11月5日〜12月15日です。ただし広報費・ウェブサイト関連費の30万円上限と単独申請不可は同じルールです。SECTION 04本格的にやる|新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
旧「事業再構築補助金」の後継である新事業進出補助金と、旧「ものづくり補助金」を統合した新制度です。2026年6月に第1回の公募要領が公開されました。持続化補助金と違い、広告宣伝費に定額のキャップがありません。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回
「広告宣伝・販売促進費」が対象経費に入っています
10の対象経費区分のうち、⑩が広告宣伝・販売促進費です。公募要領では次のように定義されています。
公募要領の定義
「補助事業で製造又は提供する製品・サービスに必要な広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載、補助事業の PR 等に係るウェブサイトの構築、展示会出展、ブランディング・プロモーションに係る経費」パンフレット・動画・写真の制作、ウェブサイト構築、ブランディングまで含まれており、持続化補助金より対象範囲が広く取られています。
▶ 上限は「売上見込みの5%」——定額ではありません
広告宣伝・販売促進費の上限は「事業計画期間1年当たりの、補助事業で新たに製造等する製品等の売上高見込み額(税抜き)の5%」と定められています。持続化補助金のような定額キャップではなく、事業計画の規模に連動します。年間売上見込みが5,000万円なら広告枠は250万円、1億円なら500万円という計算です。ただし対象は「補助事業で新たに製造等する製品」に紐づく広告に限られます。既存事業の一般的な会社PRには使えません。
※ 「広告宣伝・販売促進費」が3つの枠すべてで同じように対象になるかは、公募要領本文からは限定の記述を確認できませんでした(経費表では新事業進出枠・グローバル枠での記載を確認)。革新的新製品・サービス枠での取り扱いは、申請前に事務局へご確認ください。
SECTION 05使えると誤解されやすい制度
「この補助金でホームページが作れる」と紹介されがちですが、公募要領を読むと対象外というケースがあります。代表的な2つを挙げます。
| 制度 | 広告制作・HP制作に使えるか |
|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 (旧・IT導入補助金) |
× 受託制作のホームページ制作費は原則対象外。ITツール登録要領で「ホームページ制作、サイト制作、WEBアプリ制作…における、追加開発に掛かる費用が含まれているもの」は登録対象外と定められています。事務局に事前登録済みの完成品パッケージ(SaaS等)であれば対象になり得ますが、その場合も追加開発費は不可です。ECサイト構築ツールの可否は、公式の「ITツール検索」で当該製品が登録されているかを個別に確認する必要があります。 |
| 中小企業省力化投資補助金 (一般型・カタログ注文型) |
× 使えません。対象経費は機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費で、広告宣伝費・広報費に該当する区分がありません。省人化・省力化のための設備投資に特化した制度です。 |
▶ 補助金のまとめサイトは、募集期間の誤りが非常に多いです
当社が2026年に行った調査でも、すでに終了した制度が「募集中」と表示されていたり、二次募集の存在が反映されていなかったりする例を複数確認しました。実際に、ある府の展示会出展支援は要項上の締切より4か月以上早く、予算上限到達で受付を終了していました。応募を検討する際は、必ず自治体・省庁の公式ページ本文で締切をご確認ください。SECTION 06京都・大阪・奈良・滋賀の地域制度
府県独自にも、広告制作や販路開拓に使える補助金があります。ただし多くが年度の前半に募集を締め切るため、2026年8月時点では次年度に向けた準備の対象になります。「来年度使うために、今から何を整えておくか」という視点でご覧ください。
いま申請できるもの
| 地域 | 制度名 | 内容・締切 |
|---|---|---|
| 大阪府 | 大規模展示商談会活用事業(出展支援事業) | 小間料金および装飾経費の1/2(上限25万円)。製造業またはソフトウェア業が対象。第2期の締切は2026年10月16日(金)17:00必着 |
| 全国 | 小規模事業者持続化補助金 第20回 | SECTION 03のとおり。受付は2026年11月5日〜12月15日 |
来年度に向けて押さえておきたいもの(今年度は募集終了)
| 地域 | 制度名 | 広告・広報での使いやすさ |
|---|---|---|
| 滋賀県 | ちいさな企業新事業応援補助金 | ◎ 今回調べた中で最も広告制作向き。2/3以内・上限50万円(企業間連携枠150万円)。広告費・広報費・ホームページ制作費・展示会出展費がいずれも対象。ただし設備投資には使えません。小規模事業者向け。例年5〜6月募集 |
| 滋賀県 | 海外市場開拓支援事業補助金 | ◎ 1/2以内・50万〜350万円。広告宣伝費・広報媒体制作費・ホームページ制作費・展示会出展費が対象。例年4月締切 |
| 大阪府 | 利益率向上・賃上げ支援事業 | ◎ 2/3以内・上限500万円。対象経費に「広告宣伝・販売促進費」を明記。例年5〜6月募集。2026年度は8月6日に採択結果が公表され終了 |
| 滋賀県 | 中小企業経営革新等応援事業補助金 | ○ 販路開拓事業(展示会参加・調査・広報)とデザイン改善が対象。1/2以内・上限300万円。経営革新計画の承認が前提なので、今から計画承認を取っておくと来年度動けます |
| 京都市 | KYOTO海外展開チャレンジ支援事業 | ○ 1/2以内・上限160万円。「海外市場へのプロモーションやブランディング」が対象事業。例年4月中旬〜5月中旬 |
| 奈良県 | 中小企業賃上げ環境整備支援補助金 | ○ 中小1/2・小規模2/3、上限500万円。対象経費に広告宣伝費を含む。賃上げ2.9%以上+商工会議所・商工会の支援が要件のため、事前に支援関係を作っておく必要があります |
| 京都府 | 多様な働き方推進事業費補助金 ほか | △ 府の労働政策室が所管する府独自補助金は4件。広告制作に直接使える府単独の制度は、2026年8月時点では確認できませんでした |
※ 「例年◯月」は過去の募集実績からの目安であり、次年度の実施を確約するものではありません。年度が替わったら各自治体の公式ページでご確認ください。当ページは毎月見直しています。
SECTION 07申請の進め方と、逆算スケジュール
持続化補助金は「申請書を出すだけ」では終わりません。商工会議所・商工会の関与が必須で、そこに締切があります。第20回の日程で逆算すると次のようになります。
- いま〜9月:販路開拓で何をしたいかを整理する。広告制作は単独では申請できないため、展示会出展・新商品開発・設備導入など「組み合わせる相手」をここで決めます
- 9〜10月:地域の商工会議所または商工会に相談する。どちらの管轄かは事業所の所在地で決まります。経営計画づくりの伴走を受けます
- 10〜11月:経営計画・補助事業計画を作成し、制作物の見積を揃える。この段階で制作会社と仕様を固めます
- 〜12月4日:事業支援計画書(様式4)の発行を依頼。この締切を過ぎると、いかなる理由でも発行されません。ここが最大の関門です
- 〜12月15日 17:00:電子申請システムで提出。交付決定を待ってから発注・制作に着手します(決定前の発注は補助対象外)
▶ 交付決定の前に発注しないでください
補助金は原則として、交付決定の通知を受けたあとに発注・契約・支払いをした経費が対象です。「先に作り始めて、あとから申請する」ことはできません。制作のスケジュールは交付決定日を起点に組んでください。SECTION 08キャリアクリエの役割
当社は広報広告制作事業を行っています。補助金を使った販路開拓では、次の役割を担います。
当社が担当すること
- 販路開拓の打ち手の整理と、制作物の企画
- 補助事業計画に沿った仕様づくりと見積の作成
- チラシ・パンフレット・カタログ・看板の制作
- ホームページ・ランディングページの制作
- 写真・動画の制作
- 展示会のツール一式の制作
当社が担当しないこと
- 申請手続きそのもの(商工会議所・商工会や認定経営革新等支援機関と連携して進めます)
- 採択の保証(補助金は審査を経て採択が決まるもので、受給を保証できるものではありません)
- 雇用関係助成金の申請代行(社会保険労務士の独占業務です。提携社労士と連携します)
▶ 「人」と「販路」の両輪でご支援できます
キャリアクリエは、セルフ・キャリアドック(キャリア面談)と研修による人材育成・定着支援と、広報広告制作の両方を提供しています。人が辞めない体制をつくりながら、売上をつくる打ち手も同時に進められるのが特長です。雇用関係の助成金については雇用助成金・補助金ガイドで解説しています。本ページの内容は2026年8月20日時点で、各補助金の公募要領PDF本文および自治体・省庁の公式ページ本文を直接確認して作成しています。補助金は年度途中でも要件・金額・募集期間が変更されます。申請前には必ず最新の公募要領と各窓口にご確認ください。本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の採択・受給を保証するものではありません。
「うちの販促、補助金が使えますか?」
その一言からで大丈夫です。何を作りたいかが決まっていなくても、補助金の要件から逆算して打ち手を一緒に整理します。持続化補助金の受付開始は11月5日、様式4の締切は12月4日。動くなら今が準備のタイミングです。